歯科助手として転職活動をしていると、面接で「どうして転職を考えたの?なぜ前の仕事を辞めたの?」と聞かれることが多いと思います。
面接官が『なぜ退職理由を質問するのか』しっかりと意図を理解して、適切な回答ができるようにしましょう。
目次
「なぜ退職理由を聞かれるのか」まずは質問の意図を理解しよう!
面接官が退職理由を聞くのにはワケがあります。
退職理由を聞くことで
- 仕事が続けられる人なのかどうか
- 仕事に対する考え方
- 他のスタッフとよい関係を築けるか
- 愚痴っぽくないか、他人のせいにしがちな性格ではないか
という人間性や仕事への考え方を見ています。
退職理由はさまざまあると思いますが
「残業が多く休日も勉強会でつぶれてしまった」
「お給料が低かった」
「やりたい仕事ができなかった」
など、中には「うちでも同じことが起きたらすぐ辞めてしまうんじゃないか」と思われてしまうものもあります。
「休日が勉強会でつぶれてしまう」「お給料が低い」などが退職理由だと、面接官に後ろ向きな印象を与えてしまいます。
反対に「得意なことを生かせる業務がしたい」「スキルアップしたい」といった理由だと、「成長意欲がある」「頑張ってくれそうだ」という前向きな印象を与えることができるでしょう。
採用するなら、前向きな理由で志望してくれている人を選びたいと思いますよね。
「退職理由」を好印象につなげる伝え方
退職理由を伝えることで、さらによいイメージにつなげるために答え方などのポイントを押さえておきましょう。
退職理由を「その歯科医院で働きたい理由」に結び付ける
たとえば、退職理由が「やりたい仕事ができなかったから」とだけ伝えてしまうと、採用側に「やりたい仕事しかやらないのかな…?」という悪い印象を与えてしまいます。
そこを言い換えて、「入社後にどうなっていきたいか」につなげていくと、意欲があることが伝わります。
参考例
手先の器用さに自信があるので、アシストでも役に立てるようになりたいと思い、アシスト業務の出来る歯科医院で働きたいと思い転職を決めました。
やむを得ない理由の場合でも一言添えて印象UP
- 夫の引っ越しでやむをえず
- 家族の介護のため
など、環境によって仕方がなく、という場合もあると思います。
そのような場合も、事実をただ素直に伝えるだけではなく
「引っ越しでやむをえず退職をしましたが、歯科の仕事が好きなので歯科助手で仕事を探していました」
など、働く意志を含ませると、志望動機にもつながりやすく、よい印象を残せるでしょう。
ウソの退職理由はトラブルのもと!
退職理由を正直に話していいのかどうか、悩む人もいますよね。
「やりたいことがあった」「キャリアアップしたいと思った」などの思いがなく、人間関係や評価への不満などのストレスで辞めてしまった…
「人間関係が原因とか、自分も悪いのでは、と思われてしまいそう…」
そんなときに、ウソの退職理由を話すのは、その後の信頼関係にひびく可能性があるのでよくありません。
また、多くの人を面接している採用側からすると、ウソをついていることがすぐにわかってしまうこともあります。
ただ「人間関係のトラブル」や「パワハラにあった」などは、話し方によっては悪い印象を与えてしまうので注意が必要です。
「職場の仲間への不満・批判」と受け取られてしまうと「なんでも人のせいにする人なのかな」と思われてしまいかねません。
本当にあったこと、自分は悪くないことだとしても、できる限り、1番の退職理由として話すことは避け、他に前向きな理由を話したほうがよいでしょう。
退職理由の回答例【良い例・悪い例】
退職理由ごとに、良い回答例と悪い回答例を合わせてみていきましょう。
他業界から転職する場合
他業界から歯科業界に転職する場合は、まず「なぜ歯科業界に転職しようと思ったのか」を伝えることをおすすめします。
「同じ業界の他の会社・店じゃだめなの?」と聞かれたときに明確な理由を答えられるようにしておきましょう。
悪い例
今働いている店はノルマがあり、そのためにお客さんに服を売りつけているようで嫌だったので退職を決めました。
医療関係だと安定しているし、歯科助手は資格が必要ないのでやってみようと思いました。
NGポイント
- ノルマがある」ことをネガティブに捉えている
- 「安定」や「資格がいらない」など、都合のよい条件だけみている
良い例
新しい仕事にチャレンジしたいと思い、転職を決めました。
医療関係に興味があったのですが、中でも歯科は身近な存在で、接客スキルも活かすことができると思っています。
歯科助手として、歯科の知識やアシストの技術を身につけて、いずれは医療事務などの資格取得につなげたいと考えています。
OKポイント
- 前職と違う業界でも、前職からの経験を活かすなど、どう働きたいか考えられている
- 向上心があり、前向きな理由である
人間関係の場合
基本的には、人間関係を退職理由として話すことはあまり好まれません。
なぜなら「人のせいにしてしまう人なのかな」「自分で努力しなかったのかな」と思われてしまうからです。
なので、人間関係が理由だとしても、ネガティブに話さず「自分はこうなっていきたい」という今後の働き方などにつなげるのが良いでしょう。
悪い例
前の歯科医院では、指導してもらえなかったり、いじめがあったりしたので、人間関係が嫌で退職しました。
NGポイント
- 「~してもらえない」など、受け身の表現は他人の責任にしている印象を与える
- 「いじめ・人間関係」は正直に話しすぎると「感情的な人なのかな」などと思われてしまう
良い例
前職は個人主義という雰囲気でした。仕事は先輩を見て覚えていったので、自分の力で頑張るやりがいは感じていましたが、チームワークを大切にした働き方がしたいと思うようになりました。
OKポイント
- 前職でもやりがいを感じていたこと、マイナスな気持ちではないことを示す
- その歯科医院で実現したいことがあることが伝わる
評価制度・お給料に不満があった
人間関係と同じく、評価や給料を退職理由にすることも面接者には好まれません。
「給料が良ければどこでもいいのか」などと受け取られる可能性もあるからです。
そのため、具体的な実績を伝えたり、今後どうしていきたいかを話すことで、退職理由の正当性が伝わりやすくなります。
良い例
前の医院では3年間働いており、歯科助手のリーダーを任されたり教育係を務めるなど実績もありましたが、評価につながらずやりがいを感じられずにいました。
資格の取得など、目指していきたい気持ちはあるので、少しでも評価していただける環境でさらに成長していきたいと思っています。
OKポイント
- 評価を求めるだけの実績があることがわかる
- 評価してもらうための努力をしていく姿勢が感じられる
悪い例
3年間働いてもお給料が上がらなかったからです。
貴院は経験を考慮してくれて、昇給があるので志望しました。
NGポイント
- 「昇給のための頑張り」が読み取れない
- 「昇給だけが目的」のように感じられ、そのための姿勢が感じられない
残業の多さ・休日の少なさなどが理由の場合
残業の多さや、休日の少なさを理由にすると「働く意欲が低い」と思われてしまう可能性があります。
また「もっとよい条件のところがあればすぐに辞めてしまうのでは」とも思われかねません。
そのため「休みを増やすことで仕事にどう貢献できるか」や「その歯科医院で実現したいこと」につなげると理解されやすくなります。
悪い例
毎日残業が多く、休みが自由にとれなかったからです。
NGポイント
・残業や休日のみを理由にすると「仕事への意欲が低い」と思われてしまう
・条件の合うところならどこでもいいのでは、と思われてしまう
良い例
今の歯科医院では、診療が押すことも多く、毎日2時間以上の残業をしていました。残業をすることは苦に思わないのですが、診療で精一杯で勉強会などもありません。
貴院はメリハリのある働き方を重視され、勉強会にも注力されていると思い、志望しました。
OKポイント
・「残業が原因」ではないことを伝える
・空いた時間をどう使いたいか、仕事への向上心につながっている
スキルアップ・勉強のため
スキルアップを退職理由にすることで悪い印象になることは基本的にはないと思います。
しかし、伝え方次第では前の職場の「愚痴・悪口」のように受け取られてしまうので気をつけましょう。
悪い例
現在勤務している歯科医院では受付や掃除などの雑務ばかりで、診療アシストもさせてもらえません。
歯科の知識やアシストのスキルも伸ばしたいと思い転職を考えています。
NGポイント
・「させてもらえない」など、他人の責任にするような言い方は控える
良い例
現在勤務している歯科医院では、歯科助手は受付や事務に専念しているのですが、診療アシストもできるようになりたいと思い転職を考えています。
その中でも、矯正治療に興味があるので、矯正歯科に注力している貴院を志望しました。
OKポイント
・受付業務のみであることをネガティブに捉えていない
・実現したいことと、その歯科医院の特徴が合っている
大切なのは「退職・転職が前向きな理由であること」を伝えること!
面接者は、前の職場でトラブルを起こした人や、前の職場を悪く言う人のことを採用しようとは思いません。
なぜなら「うちでも同じことをするのでは?」と思うからです。
退職理由は前向きに、そこで働きたい意志があって決めたことが伝わると好印象になります。
また、回答例を読んだ方は、退職理由と志望動機にはつながりがあることがわかったと思います。
応募する歯科医院のことをきちんと調べて、そこでどうやって働きたいかを想像しながら考えてみてください。
理由によっては「働く前からわかっていたことじゃないの?」と言われることもあります。
その時も「働いていくうちにやりたいことが増えた(この診療科目がやりたい・業務カウンセリングがやりたい)」など、前向きに伝えましょう。
「その退職理由を話すことで、面接者がどう思い、何を知りたいと思うか」など、返ってくる質問の予想も立てておくと、考えも整理できて、面接でも自信をもって話すことができますよ。